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津曲 公二

デュラトン渓谷自然公園(セゴビア県 カスティージャ・イ・レオン州 スペイン)
デュラトン渓谷自然公園
(セゴビア県 カスティージャ・イ・レオン州 スペイン)
(画像はParque Natural Hoces del Rio Duraton のサイトから転載)

初めてスペインに行ったのは、バルセロナに出張したときでした。当時は1992年のオリンピック開催に向けて市内のあちこちで建設工事がありました。この出張以来、スペインのファンになりました。会社勤務を辞めてからは、ほぼ毎年スペインを訪問しています。マドリッド在住の日本人ガイドAさんには、現地の観光で10年来お世話になっています。彼はありきたりの観光名所ではなく自分で調査し吟味した名所を開発しています。今回はその名所のひとつで見聞きしたことの紹介です。

壮大な景観のハゲワシの谷

ここで「ハゲワシの谷」とは筆者たちが勝手につけた名称です。壮大な渓谷にハゲワシなどの猛禽類がゆうゆうと飛翔しています。バードウオッチングの好きな方なら何時間いても飽きずに過ごせるでしょう。地元の人たちが愛犬と一緒に気軽に訪れる雰囲気でした。渓谷には大河が蛇行しており、両側が断崖絶壁になっている草地を20分ほど歩くと、絶壁の先端には廃墟となった修道院がありました。草地は遊歩道の役割ですが、広いところでは幅が100メートル近くありました。小犬が駆け回るには十分な広さです。帰りがけに愛犬をだっこしている人がありました。当日は秋の晴天でしたが、少し汗ばむ感じでした。「愛犬は疲れてもう歩きたくない」とのことでした。

小学生の遠足にも適切な広場だが

遠足の小学生10数名のグループを見かけました。もちろん、引率の先生も同行していました。遊歩道でみんなが遊んでいます。幅広いですが両側は絶壁です。近寄ってみると柵など転落をガードするものが何も無い!絶壁には背丈の低い潅木も自生していますが、万一転落したら潅木に引っかかってセーフとは限らない。日本なら、こういう絶壁にはそれなりの柵をつけるでしょう。柵が無ければ、遠足には適さない場所とされるでしょう。スペインではこのようなリスク感覚はわが国とは異なり、おおらかで全く気にならないようでした。

転落防止の柵といえば

バルセロナ海岸近くのポルト・ベル地区には商業施設や多くのレストランがあります。ここの岸壁沿いにあるレストランに行ったことがありました。テラスの先は木材を敷いたスペースでその延長20メートルほど先は静かな地中海の海面があります。ここにも転落防止の柵はありませんでした。海面までの高さは2メートル弱ですから落ちても大したことは無いでしょう。とはいえ、ほろ酔い気分での転落は必ずしも大したことが無いとは言えません。そんな事故は無いのかと気になりました。帰りがけに歩行者専用の木材を敷いた橋がありましたが、ここにも転落防止の柵はありませんでした・・。

児童の登下校には親が付き添う

マドリッドのデリシアス地区の宿泊ホテル近くに小学校がありました。登下校時には校門付近がにぎわっていました。登下校には親が付き添う習慣のようでした。
日本では小学生の登下校に親が付き添うのは特別な場合だけと思われます。電車通学が必要な場合で、慣れるまでの期間だけなどに限られると思います。徒歩の通学なら児童だけでのグループ単位の通学はあっても、いつも親が付き添う習慣は少ないのではないでしょうか。

とはいえ、児童の登下校時の安全確保のため、筆者の住む団地では住民有志による活動が継続されています。校門を基点に通学路のいくつかのポイントに有志が立ち、児童に声かけをしています。

児童の登下校については、スペインと日本のいずれでも安全確保や事故防止についての感覚に共通するところがあるようです。ところが、スペインでは対象が大人になるとリスクに対しては全てが自己責任という考えのようです。これに比べれば、わが国は大人に対しても過保護という感じがします。事故防止のためには悪いことではありません。しかし、過保護に慣れすぎて全ての面で無防備になる傾向を助長します。この大きな弱点をまずはしっかり認識することが欠かせません。そして、過保護ではなくリスク感覚を高める方向の対策や対応が必要と考えています。