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津曲 公二

バレンシア大聖堂に展示されている聖杯(バレンシア州 スペイン)
バレンシア大聖堂に展示されている聖杯
(バレンシア州 スペイン)

引責辞任の記者会見で

三菱電機は、製造している鉄道用の空調やブレーキ関連装置で明らかになった検査不正について社長が7月2日に記者会見し責任をとって辞任する意向を明らかにしました。

組織的な不正行為は30年以上続いていた

不正行為とは、顧客との取り決めと異なる条件や方法で検査をしたり、開発時の検査結果を量産時に流用したりしていた。空調装置は1985年頃から、空気圧縮機も2006年からと長期にわたる不正だった。また、検査結果が自然に見えるように架空のデータを生成する「専用プログラム」を使い、顧客に虚偽の報告をしていたと伝えています(出典:東洋経済オンライン2021.7.08 以下同じ)。

頻発する問題の根本原因

同記事によると、このような問題は過去から頻発しており、問題現象とその根本原因を次のように分析しています。現象としては、 ①事実公表の遅れ   ②問題を小さく見せようとする 、などを指摘し懲りない隠ぺい体質として根本原因について次のように結論付けています。

  • 事業部ごとの独立性が高く連携がとりにくい
  • 失敗しても上司に相談できる環境ではない

典型的な風通しの悪い職場のようです。従って、工場への社長巡回や内部通報制度も機能せず、現場で起きていることを本社が把握できずにいた、と同記事は述べています。

緊急対策室を設置する

同社では社長を室長とする緊急対策室を設置し検査不正に関する調査結果と再発防止策を9月に公表するとしています。また、社外弁護士を委員長とする調査委員会を設け、社外の視点を取り入れた実態解明を実施するそうです。
不正行為は30年以上にわたり継続していたのですから、組織には根深い問題があることは間違いないでしょう。

社長だけが引責辞任しても何も変らない

再発防止策などだけでは、根本的な問題は何も解決できません。そして、引責辞任の対象が社長のみでは、担当する経営陣と執行する管理職層のすべてがそのまま温存されることになります。これでは一罰百戒とは逆の結果になりかねません。多少の減俸などが実施されても「百罰ゼロ戒」です。担当する現場の管理職は全員がこれまで長期にわたり「悪事と知りながら」業務を遂行していたことは明白です。役員と管理職、いずれも企業の汚名を重ねる行動を継続していたのです。

全員交代 トップは人心を一新する信賞必罰を

この事業の再生のためには人心を一新する必要があります。担当する役員と管理職のすべてを対象として信賞必罰の人事を断行する。これこそがトップのやるべき最後の仕事です。
担当役員はすべて引責辞任、担当管理職はすべて降格のうえ他事業所への恒久的な配置転換などの措置をとる。このような思い切った措置をとらない限り、何の変化も期待できないでしょう。