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津曲 公二

ポルトオリンピコ バルセロナ スペイン
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ワクチン接種でわかったわが国の弱点

昨年から続いているコロナ禍はいつ収束させることができるのか誰にもわかりません。変異種の発生で事態はより深刻になっているようにも見えます。これは明らかに非常事態です。非常時には平時と異なる判断が必要になりますが、相変わらずの感覚での判断や行動があります。
接種会場でワクチンが余ったので、自治体の首長などが接種を受けたそうです。これを問題視するテレビ報道がありました。「高齢者優先のはずなのに何ごとか」という批判でした。首長の釈明は「自分は医師であり医療関係者だから(優先権がある)」でした。いずれも現在が非常時であるとの認識が無い、きわめて問題のある批判であり釈明でした。

非常時には平時と異なる判断基準がある

非常時のワクチン接種では、接種を受ける一般市民よりもはるかに優先度の高い重要な人たちがあります。行政、医療、防疫、防衛、消防など等、非常時に国の機能を障害が無いように維持する人たちが最優先されます。これはどこの国でも常識と思われますが、さきのテレビ報道のキャスターはまるきり無知だったようです。その後、テレビ視聴者の反響で60%以上が「その状況で首長の接種は問題ない」という結果でした。視聴者の感覚がまともなことに安心しました。
ただ、その首長の釈明には問題があります。自分の立場についての役割と責任を全く自覚されていない。市民のためにワクチン接種を計画どおりに実行する役割があります。そのためには、自分は健康体を維持しなければならないという責任があります。「ワクチンが余ったから接種」ではなく、真っ先に接種を受けるべきです。これらをはっきりと認識されていなかったので釈明せざるをえなかった。首長の責任は、テレビキャスターよりもずっと重いのです。首長は住民を預かるトップリーダーとして、この機会に必要なことを漏れなく学ぶべきです。

そもそも国のトップがしっかり告知すべき

しかし、自治体の首長よりも首相や官房長官がこれら「非常時の常識」を国民にしっかりと訴求すべきでした。国のトップが説明すれば、道理に基づいた判断ですから国民は必ず理解し納得します。そもそものスタートが公平性重視でした。要は文句を言われないようにする、判断基準はこれだけだったように感じます。
ある医療関係者のたとえ話が印象に残りました。「雨が土砂降りの地域に集中的にカサを提供すべき。雨がパラつく程度のところにカサを持っていっても有り難味は無い」、これは公平にやるのではなく、特定して集中的にやるということです。

誰でも多くの学ぶべきことがある

イタリアでは昨年の感染爆発で医療崩壊が起りました。医師はすべての患者に対応する医療資源が不足し、患者を選別せざるをえない事態が起りました。患者の家族としてはとても納得できない事態だったと思われます。コロナ禍はこれまでに経験したことの無いさまざまなことに、リーダーのみならず誰でも直面します。学んで知識を身につけ、良い行いができることが求められています。