• クリティカルチェーン TOCによるプロジェクト・マネジメント

津曲 公二

乗客が徒歩で線路を横断するオリョール駅 オリョール州 ロシア連邦
乗客が徒歩で線路を横断するオリョール駅
オリョール州 ロシア連邦

地下駐車場工事中の悲惨な事故

4月、東京にあるマンション地下駐車場の天井張り替え工事中に消火設備から放出された二酸化炭素が充満し、作業員6人のうち4人の方々が死亡するという悲惨な事故が起りました。
この消火設備は、1階の地下駐車場出入り口にある操作盤の扉を開けてボタンを押すと、避難を促すアナウンスが流れたあと駐車場に二酸化炭素が放出される仕組みになっていました。地下駐車場には自動火災報知器が設置され火災を感知すると、1階にある操作盤のボタンを押さなくても自動的に二酸化炭素を放出します。
マンションの住人は、1階でクルマを停めたあとは機械の操作でクルマを地下駐車場に収納します。このため地下駐車場に一般の人が立ち入ることは無いそうです。

作業過程で消火設備が誤作動を起したか

地下部分には一般の人が立ち入ることは無くても、今回の工事や収納機械のメンテナンスで作業員の立ち入りはあります。立ち入りのためには1階の管理人室にある出入り口から約4メートルのはしごを使って地下まで下ります。
今回の事故当時に、はしごの近くにいて自力で脱出できた作業員の証言によると「地下駐車場の天井にあった消化設備の一部を取り外していた」とのことです。この作業の過程で設備が誤作動した可能性があるそうです。また、証言によると二酸化炭素が放出される前に避難を呼びかけるアナウンスが流れたということですが、他の方々は何らかの理由で逃げることができなかったとみられています。(ここまでの情報と引用は2021.4.16 NHK NEWS WEB によります)

危険の告知が無かったか

よくある普通の駐車場では(青空駐車場は別として)必ず、告知の表示(アナウンスがあったら、二酸化炭素が放出されるのですぐに避難するよう促す表示)があります。今回の事故では、そのような告知表示の有無はどうだったのでしょうか。二酸化炭素は放出ガスとしては人命に関わる危険性が最も高いそうです。であれば、一般の人が立ち入るかどうかに関わらず地下に通じる出入り口には明確な告知が必須では無かったかと思えてなりません。

同時に、工事を請け負う事業主としては従業員に対して作業現場の基本的な情報を学ぶ機会をつくることが欠かせません。以下、安全の管理について筆者の経験を述べます。

活電作業はダメ オフィスで上司からの注意

オフィスの照明用蛍光灯のひとつが点かなくなりました。照明は直菅が2本セットになっていてそのうちの1本だけが点かなくなっていました。もう1本は点いたままで、点かなくなった1本を交換しようとデスクの上に立ちました。それを見た課長から「活電作業はダメ!」と叱られました。オフィス照明用の主電源スイッチをオフにしてからやるようにとの注意でした。主電源スイッチをオフにしておけば万一の感電事故は起りようが無く、安全に作業できます。一般家庭でもブレーカーがいくつかありますから、該当するブレーカーをオフにしてからやりなさいという注意でした。

企業文化としての災害情報の共有

工場勤務のときその所在地が横浜市でした。横浜市の他の企業で重大な労働災害が発生すると、地域の監督署から担当部署にFAX情報が届きました。それがすべての生産技術担当者に告知されます。すると、その重大災害と同種の作業または同種の設備を扱っている担当者は当日中に問題が無いかを点検し報告することになっていました。つまり、他社で発生した重大災害についてこちらでも発生する要因の有無をチェックするわけです。点検とチェックには、管理職も同行しました。安全に関しては最優先でしたから、筆者の所属していた課では手不足のときは、担当者以外も手伝っていました。このような災害情報の共有は、企業文化と言えるほどに定着していたと思います。