• クリティカルチェーン TOCによるプロジェクト・マネジメント

津曲 公二

松本城(松本市 長野県)
松本城(松本市 長野県)

教えないコンサルタント

このようなキャッチのメールが舞い込みました。4年前のことです。コンサルタント養成塾講座の案内でした。筆者はコンサルタントを職業としていますが「教えない」に魅かれて受講することにしました。この塾の講師は30歳代で、受講者は30~40歳代の方々が主で総勢10名でした。筆者が最年長でしたが、4ヶ月ほどの期間を楽しく過ごすことができました。
参加者は既にコンサルタント業の方とこれからの方でした。既にコンサルタントの方々には、筆者の仕事を一緒にやってもらったり、筆者の問題についてコンサルティングをしてもらったりしました。初めてのセミナーを主催することになったコンサルタントの応援の意味でそのセミナーを受講したこともありました。「教えないコンサルタント」は確かに有効なやり方のひとつと実感できました。

ソニー創業者井深さんの感じたストレス

同社OBから聞きました。第2次世界大戦中、技術者として軍務についていたとき、製作のための仕様書を渡され「この通りにつくれ」と命令された。こうしたほうがよいといった工夫や改善を織り込むことは一切許されない。「こんな苦痛なことは無かった」そうです。戦後、大手製造業A社に入社しようと受験されたが落選(OB氏によると、A社は当時から官僚的な企業だったから、落ちるのは当然)。そこで技術者が思ったとおりのことを自由にやれる企業ソニーをつくった。

やりたいことは何でもやれたソニー

OB氏によると「当時はやりたいことは何でもやれた、閉塞感やストレスは何も無かった」そうです。もうひとりの創業者盛田さんも「あなた方のほうが良く知っているのだから、思うようにやりなさい」と現場任せだったとのこと。
同じように現場任せにしてうまくいったのがカメラ部門だそうです。現在、ミラーレスカメラ市場でソニーは後追いにも関わらず、キャノン、ニコンを抜いてトップに躍り出た。これは、ミノルタのカメラ技術陣がソニーに引っ越してきたことによる大きな成果だそうです。ソニーに来たら、やりたいことは何でもできる。思う存分に腕を振るうことができた、その結果なのですね。

官僚化が足を引っ張る

このような好ましい文化に水を差し、現場のやる気を殺いでいくのが官僚化の流れです。「現場の判断だけに任せてよいのか」「投資収益率による新規案件の比較と推移」「事業部門別の損益管理」など等、もっともらしいがやらなくてよいことを仕掛けるのです。ここで「現場はどうすればやる気になるか」を理解できる企業トップが存在すれば「余計なことをするな」となるでしょう。ところが現実は「現場に任せないように仕組みをつくる」ことが進行します。このような官僚化の一歩は企業衰退への第一歩であることは確かでしょう。

何もしないことが大事

業績絶好調のネットフリックスのCEOが、同社経営の秘密を説いた著書があるそうです。書名は“No Rules” あなたを縛るものは何もありません、自由にやってくださいということなのでしょう。
ということで「何もしないこと」はとても大事であることがわかります。筆者は「何もしないコンサルタント」を目指します。