• クリティカルチェーン TOCによるプロジェクト・マネジメント

津曲 公二

正義の女神 テミス像(横浜地方検察庁のホームページから)
正義の女神 テミス像
(横浜地方検察庁のホームページから)

月例の勉強会

筆者がかねてから参加している勉強会があります。東京農工大の技術経営(MOT)大学院コース修了者の方々による月例の勉強会です。最近では同コースの修了者のみでなく大学教授、学生、企業勤務の方々など幅広い領域から参加者されています。毎回講師を招いてさまざまな演題で活気ある討議がなされています。1月21日、筆者が講師を務めることになりました。
当日は質疑応答を含む90分の第一部のあと、希望者のみで第二部のオンライン飲み会に移行しました。何と、ミャンマー駐在の方のご参加がありました。オンラインなら時差はあってもかんたんに参加できます。現地事情などをお聞きすることができました。興味深いお話しの連続で、第一部をこえる時間になってお開きとなりました。

多様性こそが日本の強み

講師を引き受けたきっかけは、発足した新内閣の産業政策について大きな違和感があったからです。まず、ニュース番組で出席した専門家から新内閣は地銀や信金の整理統合をやりたいらしいということを聞きました。次に、デービッド・アトキンソン氏(在日の英国人経営者)が菅内閣経済政策のブレーンであることを知りました。彼の持論は、乱立している中小企業の整理統合によってわが国産業の生産性を大幅に向上させることと聞いています。

整理統合は、多様性という日本の基本的文化を否定する、とんでもない暴論だと思いました。ここで改めて「多様性こそが日本の強み」という演題で勉強会の皆さまに投げかけることにしました。項目を次のようにしました。

 1. 講演のきっかけ 多様性とは
 2. わが国の基本はおみこし経営
 3. おみこし(経営)の弱点
 4. 論理を軽視する
[付録]課題を研究開発する
 ※当日の参加者に資料を配付しました。本欄に同じものを添付します。

勉強会当日、さまざまな観点から肯定的立場で質疑応答がありました。また、後日にもメールなどで感想をお寄せいただきました。以下、本稿では二件、紹介します。いずれも、おみこし経営とボート経営についてです。これについて、筆者は講演で次のように訴求しました。わが国の基本はおみこし経営であるが、弱点もある。戦時にはタイムリーにボート経営に転換し強いリーダーシップを発揮すべき。

剣なき秤は無力、秤なき剣は暴力

トップ画像の正義の女神は、司法や裁判の公正さの象徴となっています。
感想をいただいたAさんの頭に浮かんだイメージは、バランスと力だったそうです。力はボート経営の強力なリーダーシップのことです。例えると剣になります。秤はどちらにも大きく振れる多様性の集団のことになります。多様性(おみこし経営)と強いリーダーシップ(ボート経営)のバランスが欠かせない。Aさんのイメージについて、筆者はこのように解釈しました。現在のコロナ禍の状況で、経営トップは強いリーダーシップで舵取りする局面が増えることになります。そのとき自問すべき指標のひとつとなるのではないでしょうか。

二人のソニー創業者はボート経営とおみこし経営を分担した

井深大と盛田昭夫、このお二人の時代にソニーに勤務されていたBさんからはお二人がそれぞれの指向性を分担されていた、との感想をもらいました。盛田さんはおみこし経営でみんなのパワーを引き出し、会社を世界規模に発展させた。ところが井深さんは自分がやりたいことを自由にどんどんやりたい。会社が大きくなるとやりたいことが制限される。井深さんには不満な方向だったのではないか、などのコメントもありました。タイプの異なる優れたリーダー二人のコンビで素晴らしい結果を出した典型的な事例です。このようなわが国だからこそのお手本は現在にも大いに参考になるのではないでしょうか。

 

資料ダウンロード

多様性こそが日本の強み(配付資料)
 ・2021-0121_document.pdf