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津曲 公二

「科学と慈愛」 パブロ・ピカソ(バルセロナのピカソ美術館 スペイン)
「科学と慈愛」 パブロ・ピカソ
(バルセロナのピカソ美術館 スペイン)

企業創業者の講話から

おつき合いしている企業の創業者会長が従業員の皆さんに定期的にお話しされています。
これまでを振り返り将来の夢や構想を語り伝えることは「三方良し」の経営にとって欠かせない理想的なイベントと思います。今月初めに筆者もオンラインで参加することができました。興味深い話題がいくつもありましたが、とくに印象の深かった一節を紹介します。それは、人間の成長の特色というところでした。まず、「人間は成人になるまで20年かかる」。そうですよね、他の哺乳類の動物と比べても人間は圧倒的に長い。お話しは続きます。「しかし、その後も長い。60歳や80歳になっても強みである個性を発揮できる存在である」。「皆さんはぜひ自分の強みを探求してください」。これを聞いて筆者が思い出したのが、ひとつの絵画でした。バルセロナのピカソ美術館にある大作です。

ピカソ16歳のときの大作

美術教師であった父がピカソ15歳のときアトリエを与えたというほど、ピカソは天才だったそうです。絵は患者を診ている医師と見守る尼僧が描かれています。当時は尼僧の「慈愛」がまずあり、それに医師のもつ「科学」が登場したことを表現したのでしょう。現代では我われが患者になったとき頼りにするのは医師の科学で、慈愛の影は薄くなったようです。さらに、科学の進歩で医療にも人工知能やロボットなどが登場するようになりました。医師のもつ科学の役割はこれらがほとんどを交代するようになるかもしれません。そうすると、医師はこの絵に描かれた尼僧のような慈愛を受け持つことになるのでしょうか。
ピカソは91歳で亡くなったそうですが、若いころから天才であったこと、亡くなるまでずっと精力的に創作活動を続けたことに感動しました。

誰もが芸樹家なみの長寿になる日本

ピカソに限らず芸術家は長寿が多いように思います。自分の強みである個性を発揮する人生だからでしょう。芸術家には定年という区切りが無いので、気力体力の続く限り無期限に個性を発揮することができます。
ところで、わが国は世界一の長寿国になりました。よく何につけても国別ランキングで比較することがあります。寿命が世界一の国ということは、世界一幸せな国であるということだと思っています。日本は世界がうらやむ国になったのですね。少なくとも世界の他の国から客観的に見たら間違いないことでしょう。

強みである個性を自ら探求する

誰もが芸樹家なみの長寿になる日本。ここで、冒頭に紹介した創業者会長のお話しを思い出します。
・・人間は成人になるまで20年もかかるが、その後が長い。60歳や80歳になっても強みである個性を発揮できるよう探求して欲しい・・
定年延長が制度化されるかどうかに関わらず、また、強みである個性が現在の仕事であるかどうかにも関わらず、それを自ら探求することが求められる時代になったようです。