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建築工事中のサグラダファミリア(バルセロナ スペイン)
建築工事中のサグラダファミリア(バルセロナ スペイン)

いま我われはコロナ禍の渦中にある。よく「コロナとの戦い」「コロナに勝つ」と言われる。戦いや
勝つと言うのだから、これはコロナ戦争である。コロナという見えない敵と戦っている我われは戦争中なのである。いまは戦時である。
ところが、非常事態宣言がなされてもこれは自粛であって諸外国のような強制力はない。行動の規制は各自の自主性に任されているから、自粛はいやだと思えば旅行も自由である。さすがに海外はほとんどが入国を禁止しているから外国には行けない。国内なら自由である。新幹線で東京から九州へ家族旅行しても拘束されたり罰金をとられたりすることは無い。これでは、とても戦時とは言えずほぼ平時である。
しかし、自由なはずの企業活動を自粛するところが増えてきた。それで経済活動はひどく低下することになった。収入が激減あるいは途絶える人が増えた。これを戦時と言うなら誰も経験したことの無い別種の戦時である。戦争のための需要が増加する戦時社会では、経済は活発にならざるを得ない。市民生活はある意味活性化する。今回のような極端な社会現象はこれまで無かったことだろう。社会や経済の停滞や低下を見ると明らかに従来の戦争とはきわめて異質な状況である。

コロナとの戦いであるから、それは戦時であるとすると・・
外出や移動の自粛要請はあるがいやだと思えば自由であるから、ほぼ平時に近い。
社会経済を見ると活動が極度に停滞し低下している。戦時としてはきわめて異質である。

このような状況は、少なくともわが国が全く経験したことが無いことは確かであろう。政府、地方自治体そして国民など全てがどう対処したらよいか困惑する事態になっている。解決の糸口を見つけ安全と安心をもたらし社会の混迷にそれなりの道すじをつけるにはどうすればよいのだろうか。全体観をテコに考えてみる。

まず、このような戦時は従来の戦時とは異質のものであり、平時の常識では対処できないと強く認識すること。
何となくそう感じている方々は多いのではないだろうか。わが国には「言霊信仰」がある。縁起でもないことや不吉なことあるいはあって欲しくないことを口にすると、それらは実際に起きてしまう、という信仰である。感染症は自然界の条件がそろえば発生し蔓延する。信仰で起きるのではないから、科学で解明し技術で対処するしかない。ここで信仰を採用する優先度は低い。
次に、リーダーの指示を理解咀嚼し忠実に実践すること。
非常事態宣言下で観光旅行や多数が集まる娯楽施設を利用するなどは論外である。
指示を実践して企業経営や家計に大きな影響があれば、国や自治体が援助すべきであり、ここを出し惜しみしていては「元も子もなくす」ことになる。
三つ目は、「戦時のリーダー」を応援し育てていくこと。
自治体で言えばリーダーは首長であり、国全体で言えばリーダーは首相である。わが国は敗戦後70年以上も戦時を経験していない。幸せなことであるが、現在のリーダーはすべて「平時のリーダー」であり、「戦時のリーダー」ではない。従って、短時間で戦時のリーダーに変身してもらう必要がある。
テレビ報道は大小さまざまなミスや失敗をあげつらうことが大好きである。それが組織の使命という大いなるカン違いは、つねに国の混乱を招き社会の分断につながる。このような異常な
戦時であれば、誰がリーダーを務めてもミスや失敗はつきものであり避けられない。リーダーが倒れたら、さらに深い混迷を招くだけだろう。現在のリーダーを守り立てていく、ここにしか選択肢は無い。さいわいなことに、わが国は民主国家であり、首相以下全ての首長は公正な選挙で選ばれた人たちばかりである。この人たちが雑音を気にすることなく「コロナ戦争に勝つ」ことだけに専念してもらう環境条件をつくり出すこと、これが「支援し育てていく」ことに他ならない。前例が無いことに苦手な国民性はあるとしても、一致協力することはそれなりに習慣としてある。この戦争に勝つカギは「戦時のリーダー」を国民が一致協力して育てられるか、ここにかかっている。

2020.4.27 津曲公二