津曲 公二
バルセロナ フランサ駅(カタルーニャ州 スペイン)
フランス行き国際列車などが発着するスペイン国鉄在来線のターミナル駅
エッセー第28回で「落し物や忘れ物が持ち主に戻る日本」と題して筆者の体験を書きました。最近のことですが、筆者はバスに乗車して終点の私鉄最寄り駅で下車したとき、手袋をバスの座席に忘れたことに気づきました。車内で手袋を脱いで座席においたままでした。気づいたときは、既に私鉄電車内にいました。帰宅後、A社バス営業所に電話しました。それらしいものはあるとのことで、翌日、窓口に行きました。窓口は営業所入口から最も近くに専用の受付窓口がありました。台帳に日付と品名が書いてあり、該当品2点を別の倉庫から取り出してきてもらいました。手にとってみましたが、二つとも筆者が忘れたものと色は同じでも全く別のものでした。残念ながら、見つかりませんでした。
別の日にバス車内に保冷バッグを忘れました!かねて手荷物はひとつだけなのですが、当日はその他として小さな保冷バッグを持参していました。それをすっかり忘れていました。内容物は冷凍食品ではありませんが、冷蔵を要する食品でした。前回とは異なるB社の私鉄バスでしたが、窓口に電話したら「ある」とのことでした。「明日取りに行きます」と伝えて、さらに「保冷バッグごと冷蔵庫での保管」をお願いしました。快諾してもらいました。翌日、これは冷蔵保管されて無事に筆者のもとに戻りました。A社もB社もじつに親切な対応でした。
エッセー第28回で次のように書きました。
わが国には、バス・タクシー、電車、飛行機などの公共交通機関には必ず遺失物窓口があります。また警察署に行かなくても最寄りの交番に届けることもできます。「忘れ物や落し物を見つけたら届ける」そして「持ち主に返す」ための社会の仕組みがきちんと整備されています。遺失物窓口と交番が、そのための目に見える拠点です。これらが活用されているのは、前提として国民を善人と想定できるからでしょう。そして、その想定は現在までのところ大きな問題も無くうまくいっています。私たちの住む日本の社会にはこのような素晴らしい仕組みがあります。これは世界に誇ってよいことのひとつです。
これもまた、世界の各国には無いわが国の安全な社会を示しています。さすがに幼稚園児では付き添い無し通園は無理ですが、小学生の付き添い無し通学はごく普通のことです。もちろん、基本的にグループにまとまっての徒歩登校として定着しています。筆者が利用するA社私鉄電車では、小学生の単独通学はごく普通に見かける風景です。しかし、これは世情の変化に伴い、より安全なやり方を採用すべき時期になっているように思います。
最近の報道によると、宅配便を装った強盗犯罪が目立ちます。いったん自宅のドアを開けてしまえば、強盗犯に抵抗することはきわめて危険なことになります。このような犯罪防止のための仕組みとして、宅配便の受け取りを非対面で可能にするロッカーがあります。駅などで見かけるコインロッカーのような仕組みです。しかし、マンションではなく戸建て住宅だと別の仕組みが必要になるでしょう。そのような仕組みが設置されるまでの期間においては、送り主側から到着案内の情報を充実させる必要があります。到着案内の情報がない場合は、宅配業者を装った怪しい人物かもしれないと予想することができます。つまり、宅配業者と聞いただけで自宅のドアを開けるといった無防備な状況を避けることができます。強盗は住宅だけに限りません。コンビニやタクシーも強盗犯の標的になっています。
そこに「現金がある」ことが、コンビニやタクシーにおいて強盗の誘因になっています。従って、キャッシュレス決済にすれば、現在のような強盗による犯罪は激減するでしょう。クレジットカードやスイカのような電子マネーを使えば、現金を狙った犯罪はありえないことになります。コンビニ従業員やタクシードライバーの安全な職場環境のために、その気になればすぐにできるやり方です。クレジットカードや電子マネーは、わが国の社会にそれなりに普及しています(2021年キャッシュレス決済比率32.5%)。安全な社会のために、キャッシュレス決済の推進策としてまずコンビニやタクシーから義務づけることが考えられます。政府がなぜこれに消極的なのか理解できませんが、コンビニやタクシーの経営者は自発的にどんどん進めたら良いのではと思います。
これについては公共交通機関でそれなりのキャンペーンはこれまでも実施されています。しかし、いっこうに減っていません。酔っ払っての犯行は、相手が反撃してこないのを知ったうえでの暴力行為です。そもそも、わが国は酔っ払いに甘過ぎる国です。しかも、文明国にも関わらず、わが国は公共の場での飲酒が法規制されていない珍しい国でもあります。お花見の季節に公園などでの飲酒は、わが国では当たり前の風景です。しかし、これは外国人観光客には奇異なこととして受け取られていることでしょう。オリンピックのとき、外国人観光客が渋谷の繁華街路上で酒を飲み大騒ぎしていました。路上で酒を飲むことは、たいていの文明国では厳禁行為です。彼らは日本にきて安心して騒いでいたのでしょう。
これらの行為は酔っ払いがほとんどだと聞いています。厳しく取り締まって、サラリーマンであれば所属する勤務先に通告するなどの処置をとればこういう愚行は激減するのではないでしょうか。国交省や交通機関は、この手の暴力行為に緩い対応では困ります。こういう甘い対応の積み重ねがわが国の大きな欠陥を助長することになっています。
【ロシア】 今回のウクライナ侵攻については西側諸国の一員として、対ロ制裁に加わったのは良いことでした。このような明確な意思表示をしたのはきわめて珍しいことと感じました。このような事実を見せつけられても、わが国の防衛力増強に反対する政党はどういう感覚の持ち主なのか理解できません。北方諸島の返還などを前提にした外交姿勢は相手をつけ上がらせることにしかならないでしょう。
【北朝鮮】 日本人が拉致されても未だに効果的な対抗措置ができていません。北朝鮮の核開発は日本の某業界などからの資金援助(献金)で成り立っていると聞いたことがあります。つまり、日本からの資金が核爆弾やミサイルの開発を進めているのです。わが国は軍事的な対応ができないのであれば、当面は資金源を根絶すべきと考えます。
【中国】 共産党政権はわが国の領土である尖閣諸島を虎視眈々と狙っています。また、スパイ容疑や麻薬を持ち込んだなどと、言いがかりをつけて不当に拘束されている日本人は2015年以降15人にもなると言われています。このうち、ごく一部は解放されたとのことですが、わが国のマスコミは完全に沈黙しています。わが国政府は何をしているのでしょうか。また、自動車業界などわが国大企業の経営者はこういう事実には知らん顔をして中国とのビジネスを続けています。中国における在留邦人数は約10万人だそうです(2022年10月時点)。外交的に不測の事態が起こったとき、これら邦人の身の上に不当な拘束や虐待が起こることを筆者は案じています。
【韓国】 いわゆる徴用工問題など、過去に政府間で取り決めたことを蒸し返す常習犯国家です。わが国政府はスジの通らないことにおつき合いする必要は無いとの姿勢を、ようやく明確にできるようになりました。一連の韓国向け輸出規制などは暗殺された安倍元首相のときからでした。この姿勢を後退させることがあってはなりません。
いずれの国々も国民が悪意ある人たちばかりではないのでしょうが、国家を代表する政府の意思と行動は悪意と悪行に満ちています。我われ日本人としては、このことを肝に銘じて必要な対抗策を漏れ無く整えておく必要があります。