• クリティカルチェーン TOCによるプロジェクト・マネジメント

津曲 公二

ポルトオリンピコにて(バルセロナ カタルーニャ州 スペイン)
ポルトオリンピコにて
(バルセロナ カタルーニャ州 スペイン)

男子外に出れば7人の敵ありとは、社会に出て活動すれば多くの敵や競争相手が待ち構えているといった意味の諺として知られています。「男は敷居を跨げば七人の敵あり」とも言われています。いずれも男性限定となっていますが、現在では男女を問わず適用できることではないでしょうか。同時に、単なる競争相手という敵だけではなく突然の暴漢の出現や災害なども「敵」に加える必要があります。「日本人は水と安全はタダと思っている」とはベストセラー『日本人とユダヤ人』(イザヤ・ベンダサン 1970年)で有名になりました。周囲を海という自然の障壁に囲まれているわが国、平地は少ないが山脈が多いため良質な水にこと欠かないわが国、このような恵まれた自然環境は我われ日本人にとって、いわゆる「平和ボケ」の大きな要因になっています。あまりに無防備な我われ日本人の日常を見ていきます。

エレベーター内で

後からの階で乗車するとき、先に乗っている人を一瞥もくれず背を向けてドアの前に立つ人があります。これでは後ろにいる乗客の動向が全くわかりません。短い時間ではありますが、他の乗客の動向が自らよく見えるように、つまり全ての乗客が視界に入る位置に立つ必要があります。身長の差で100%は見えないにしても、まるで背を向ける立ち位置はお薦めできません。相手が悪漢や暴漢だったら何が起こるか予測できません。これを奇異に感じられる方、つまり「どういうこと?」と不思議に思われる方は、次の場面ではいかがでしょうか。

居酒屋やレストランで

着席する位置は、まずは全体が見渡せるところを筆者は選びます。とくに入り口が良く見えるところを選ぶのがベストで、入り口が全く見えない席は避けています。異変をもたらす兆候として、まずは入口からどういう客が入ってくるかが重要です。客が入場するたびにさりげなく視線を投げかけます。不審に感じるようならそこに長居するのは止めて早々に引き上げます。居酒屋などに限りませんが、医院などどこでもそこに恨みをもった人物が悪事や凶行に及ぶことが現実に起こっています。居酒屋などは、私たち自身の緊張感が緩むところでもあります。全体が見渡せるところを選ぶことが、リスクを避け、かつ安全のための基本となると思っています。

その立地、構造やビルのどの階にあるかも重要ポイント

居酒屋やレストランなど不特定多数の客が集まる事業所について消防署は立ち入り検査で消火設備や非常扉などの点検を行いますが、是正勧告を無視するお店も少なからず存在するようです。我われ自身がこのようなことを点検することはできません。まずは我われでわかること、つまり外形的なことで判断するしかありません。通常、出入り口は1箇所しかありませんが、お店が1階にあって外部にすぐ通じているところはプラス(の要素)です。エレベーターを使う上階はマイナスです。とくに飲食店が多いのにそのビルのエレベーターが1基しかないところはさらにマイナスです。地下1階でも開放的な構造でいざというときの脱出に支障のないお店もあります。こういうお店はひいきにしています。大規模ビルでは高層階にも多くのお店がありますが、火災発生時にエレベーターは使えませんし、停電になることも当然のこととして考えておく必要があります。いずれにしても。脱出経路が開放的なお店は少数派に過ぎないようです。初めてのお店の場合は脱出経路のチェックを怠らないようにしています。居酒屋などで、クツを脱ぐところが増えています。いざというとき、ハダシで脱出することになるのでそういうお店は極力避けています。

タワーマンションの潜在的なリスク

高層のタワーマンションが続々と開発されています。居酒屋やレストランなどと異なり、住居となるものですが、「外に出なくても内に敵あり」という感じがします。つまり、停電などの場合はエレベーターが使えなくなりますし、水道も出なくなるのではないでしょうか。高層ビルでエレベーターが使えなくなるのは自宅から動けなくなるという致命的な問題が起こります。短時間なら非常用電源で動くでしょうが、その後エレベーターの電源が復旧しない限り、自力での自宅からの移動はできなくなります。筆者は14階建てのマンションに住んでいますが、自力での階段による移動はこのくらいが限界ではないかと思います。3.11大震災の後で計画停電が実施されたことがありました。このときの停電は夜間の限られた時間帯のみでしたので、エレベーターが停止する時間までに外出を済ませておくようにしました。従って、エレベーター停止による大きな影響はありませんでした。わが国は地震大国です。地震のような自然災害はその発生を止める対策はありませんが、発生時の被害を緩和させる事前の対策を備えることができます。決定的で究極の対策は「居住用としては使わない」ということではないでしょうか。

平和ボケは解消しているのか

日本国民の究極の平和ボケは、国防にあります。隣国は油断できない危険な国が揃っています。ロシア(突然ウクライナに軍事侵攻しました)、北朝鮮(拉致を繰り返し、核爆弾を開発し、長距離ミサイルを保有しています)、中国(わが国の領海侵犯を繰り返し、軍備を増強し続けています)、これらのすべての国が独裁の専制国家です。わが国のような自由で民主主義という文化や価値観とはかけ離れています。これらの危険な国々に対して、政府も国民ものほほんとした姿勢をとり続けています。今年2月のロシアによる突然のウクライナへの軍事侵攻で、世論の動向は少し変化した感じはしますが、ロシアに隣接するフィンランドやその隣国のスエーデンなどとは比較にならない鈍感さです。この二国は中立を放棄し西側の軍事同盟に参加することを決定しました。わが国は米国との軍事同盟がありますが、その段階を深める意識が国民にありません。ウクライナは自国に強力な備えがあったので、ロシアの侵攻を何とか阻止しています。北朝鮮のミサイルによる威嚇や攻撃の意図をくじくようなわが国の対抗措置はまるで見えません。国民の意識も「いざとなったら米国が守ってくれる」と夢のようなことしか考えていないように思えてなりません。隣国ロシアの軍事侵攻が起こっても、わが国の平和ボケはまったく1mmも揺るがないようです。