• クリティカルチェーン TOCによるプロジェクト・マネジメント

津曲 公二

アティエンサ村の教会(グアダラハラ県 カスティージャ・ラ・マンチャ州 スペイン)
アティエンサ村の教会
(グアダラハラ県 カスティージャ・ラ・マンチャ州 スペイン)

エンジンの押しがけ

これをご存じの方は現在では少ないと思います。60~70年以上前のクルマは、エンジンやバッテリーの性能の問題で、冬場のエンジン始動はけっこう難しいことでした。まずはバッテリーの性能がよくない。気温が低下すると出力が落ちる。エンジン内部のまさつも大きく、始動モーターの性能もよくない。いろいろな事情でエンジンがかからない。そこで、ドライバーのほかに、外部から人力でクルマを押してエンジンの始動を助けていました。当時は現在のようなAT車は珍しく、マニュアルミッション(MT)車でしたから、ミッションとエンジンを直結できたのです。

寒冷地ではエンジンの冷却水を温める

現在でも寒冷地ではエンジンはかかりにくいのです。そこで、エンジンの冷却水を家庭用電源を使った電気ヒーターで温める装置も販売されています。北米大陸などの寒冷地ではガレージ内でも凍結することがあるので、夜通しずっと通電しておく場合があると聞いたことがあります。もっとも、寒冷地ではない横浜市でも広い青空駐車場でエンジンが始動できなかったことがありました。内部摩擦の影響と考え、エンジンブロックにお湯をかけて暖めたことがありました。そのときはキャブレター式エンジンでしたから、このような単純なやり方で何とかなりました。

通信回線のトラブル発生

2週間ほど前、NTTのひかり電話経由の通信回線にトラブルが発生しました。いつも使っているノートパソコン2台のネット接続ができなくなりました。1台は有線で、もう1台は無線で使っていたのですが、いずれもつながらない。NTTのフリーダイヤルに電話しても混雑していて、いっこうにつながらない。電話の案内で「機器の電源を抜き差しすると回復することがあります」と自動音声が流れるが「そんなことはとっくにやったよ!」と言いたくもなりました。結局、最長100分つながりませんでした。あとで知ったのですが、夜間もつながるとのことで深夜にかけたら、ほぼ30分以内でつながりました。深夜は空いている!

指示された対策は

もともと自宅のノートパソコン2台が同時にインターネットにつながらなくなったので、不具合はNTT回線の入口に設置されているルーターであることは間違いないので、まずルーターの新品を送りますとのことでした。2日目に新ルーターをセットしてパソコンを立ち上げてもやはり同じでつながらない。何回目かのアドバイスでやったNTTのWEB設定ページでの操作がやっかいでした。電話しながらガイドしてくれるので迷うことは無いのですが、いつもは使用しないプロバイダー契約の書類がないとそのIDやPWがわからない。それが無いと次のステップに進むことができない。すぐにわからないのはこちらの整理が悪いせいですが、これでまた次の日になってしまう。こんなにややこしいことが必要なのかと気分が悪くなりました。

ルーター(新品)を再度交換する

いろいろやってみても復帰しない(つながらない)ので、ルーターをもう一度取り替えたいとの提案がありました。新品のルーターであるし、日本製の品質は悪くないはずなのでどうかなとは思いましたが窓口担当者も「最後の手段として」と言うので二つ目のルーターが届きました。セッティングも2回目となれば難なくできましたが、やはりつながらない。

デスクトップPCは

わが家にはバックアップ用にデスクトップPCが1台ありました。いざというときのためなので、性能は落ちるが使える状態でした。これは無線ではなく有線のみの仕様です。これが、有線で細々とつながりました。メールがつながるので助かりましたが、ちょっと難しいネット接続はつながらない。やはりルーターなどの問題かなと思いましたが、ルーターは新品だから故障は無いはず。

トラブルの結論

ルーターを含めてNTTのシステムは競合他社に比べて時代遅れと感じます。ルーターのマニュアルが160ページもあるうえ、ルーターの取替え手順として機器どうしの配線の接続はやむを得ないとしてもパソコンを開いてWEB設定があるのは全くいただけない。現代の常識としては、配線を終わって電源を入れたら、即、使える。こういうことでないと時代遅れもかなりのものです。NTTは、こういう方面でのビジネスにはあまりやる気は無いようです。他の業者に変更することにしました。

クルマ業界のこれから

60~70年以上前のクルマは冬場のエンジン始動は難しくて、人力による押しがけもあったことを紹介しました。NTTのルータートラブルは筆者にとっては、押しがけしてもエンジンがかからなかったようなものでした。ご存じのように、わが国のクルマ業界は世界の頂点に上りつめました。エンジン技術で欧米の競合メーカーを圧倒しました。しかし、今やエンジンに代わって電池とモーターによるEV(電気自動車)の時代が到来しています。ものごとはすべてシンプルな方向に進化します。エンジン自動車に比べれば、EVは部品点数で1/3になるといわれているようにうんと容易に製造できるようになります。わが国のクルマ業界がこれまでのように圧倒的な優位に立てるかどうかはわかりません。

わが国のシステム開発業界は途上国のレベルか

NTTの時代遅れのルーターは、わが国のこの業界の後進性の代表かもしれません。NTTは後発企業に比べて、ユーザー(一般の消費者)向けには手を抜いているようです。ユーザーに使い易く料金も低廉ということになっていません。多くの苦情に対応するために窓口に多数の人員を配置するなど、根本対策を怠って本末転倒というかたちになっています。

また、重要な社会インフラである銀行や通信企業でシステムのトラブルが散発しています。それはいつも決まった特定の企業です。こういうトラブルが何回再発してもトップ辞任も企業倒産もありません。DXと喧伝される時期に、システム開発業界はわが国の好ましくない将来像を示しているように感じます。