• クリティカルチェーン TOCによるプロジェクト・マネジメント
オレンブルグ(州都 ロシア)
オレンブルグ(州都 ロシア)

評価の三つの視点

前回お伝えしたシステムを評価する 三つの視点について紹介します。

1.依頼する立場 = ビジネスオーナー(システム開発の依頼部門)
2.つくる立場 = システムオーナー(システム開発の担当部門)
3.使う立場 = システムを実務で使うエンドユーザー(対象ユーザー)

このうち1と2がシステムの評価で従来から多く採用されている二つの視点になります。
評価の対象となるシステムは、次のとおりです。

Aシステム:小規模・利用者少数な「目で見る緊急連絡」システム 
Bシステム:大規模・利用者多数な「構成表システムの高度化(製造日程自動作成、流用設計、など等)」システム

1.依頼する側の立場からの評価

まず、最初は依頼する側の視点です。
部品JIT(ジャストインタイム)精度向上による製造部品棚卸残高 10%削減、
作業時間削減 200時間/月 の実現、
A,Bシステムは、両方とも目標達成率で90%以上(項目によっては100%以上)を実現しており及第点の評価でした。

2.つくる側の立場からの評価

次に、つくる側の視点です。
この評価はシステム化の仕様・スペックが実現できているかを測定し評価するものでシステム開発を担当するシステムオーナーである情報システム部門が担当し行います。

システム評価には、6つの観点である1.機能性、2.信頼性、3.使用性、4.効率性、5.保守性、6.移植性 でそれぞれの項目を定め実装の状態を評価します。
この評価は、スペック確認でもあるためシステム開発完了時に行われます。

ただし大規模システムの場合は、段階的に運用をリリースすることが多く、当然ながら評価も段階的なリリースの都度ごとに細分化されることもあります。
A,Bシステムは、一部で未達成の項目はあるものの全体として機能を実現しており、十分及第点の評価でした。

ちなみに、この評価では項目数が多くなりますが実際にはシステムの規模や実装する機能により項目評価を実施する/しないを決めます。つまり、「なにがなんでも全項目を評価する」ことではありません。

例えばAシステムではマイクロソフト社製のパッケージソフトが主体の仕組みでしたので、4.効率性、5.保守性、6.移植性 等は対象外としています。

3.使う側の立場からの評価

最後が、最も多くの人たちを対象とした使う側のエンドユーザーの視点です。
この評価は、不特定多数を対象としたWeb上で稼働する顧客満足度アンケート調査、特定多数を対象としたシステム利用者宛てにメールアンケートを送り回答をしてもらうなどの方法で採取し行います。

実はこの視点の評価は、どのような項目を対象にして測定・収集するのか?手間と時間が掛かりすぎる!など面倒なこともあり評価そのものを実施していない事がよくあります。
しかしながらシステムを実務で使う人たちの評価は、機能見直しの新たな要求発生や、せっかくの新機能を凍結し旧機能へ戻す等が発生しシステムの円滑な運用を妨げるような影響を及ぼす場合があります。
もし読者で実施していない場合は、ぜひ実施することをお薦めします。

実際に評価が低いシステムの場合、「あまり活用されず誰も使わないシステムになり結果開発投資がムダになってしまった」と厳しい見方をされたことがありました。

この視点には、採取された回答に大きな偏りが生じやすいため、評価そのものの信頼性が確保できない傾向があり注意が必要です。この偏りを無くす考え方や方法は、また別の機会にでも紹介したいと思います。

A,Bシステムは、「依頼する側」「つくる側」の評価ではいずれも及第点だったにも関わらず、5点満点の使う側の評価では、次のように大きな差がつきました。

小規模で低コストのうえ短期間で開発した「Aシステムは4.5点と高評価」
大規模でプロジェクト体制を持ち、コストと期間を掛け開発した「Bシステムは2.1点と低評価」

低い評価のBシステムには、十分な検討期間を掛け分析し、多額の開発費を費やし開発した一部機能で、「ほとんど使っていない、どんな機能かもよく判らない、・・」との評価が自由記述等で明らかにされたものもありました。
Bシステムの開発に参画した私にとって正直非常に残念な結果でした。

次回 その3では、「なぜ こんな差が生まれるのか?」をお伝えします。

次回に続く

2020.5.25 冨永宏志