• クリティカルチェーン TOCによるプロジェクト・マネジメント

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第133回 駅で見かける便利なクツの修理店に感服~簡潔な仕事の進め方はこれからの業務プロセスのモデル

津曲 公二

巨大なビアホールで有名なホフブロイハウスの入口にて(ミュンヘン ドイツ)
巨大なビアホールで有名なホフブロイハウスの入口にて
(ミュンヘン ドイツ)

傘の修理で初めての利用

愛用の傘の骨が一箇所折れたので、修理してもらうことしました。団地内の大型スーパー店内にカギ複製・クツ修理の窓口がありいつも依頼していたのですが、最近店仕舞いになりました。そこで、私鉄最寄り駅のデパート内にあるクツやカバン修理のお店に行きました。駅のホームなどでもよくみかけるM社チェーン店です。

誕生したのはやはり海外

このお店は全国に約300店あり、日本での創業から50年になるそうです。誕生したのはベルギーだそうですが、わが国にもしっかり溶け込んで繁盛しているようです。わが国では飲食サービス関係は外国ブランドのお店が多数あります。これらは国際的な競争力があるので日本の消費者に受け入れられて繁盛しているのでしょう。コンビニは、わが国ではまず海外ブランドによる日本企業S社経営のお店がスタートしましたが、その後はわが国の資本で数社が競争できるようになりました。スーパー業界で思い出すのは米国大手W社やフランス大手C社が日本に進出したことです。進出はしましたが、業績が振るわず両社とも最終的に撤退しました。シンプルに日本の消費者に受け入れられなかったわけです。筆者が傘の修理で初めて利用したM社チェーン店はわが国で半世紀にわたり操業し店舗を全国に拡大しました。日本の消費者に即した経営をしていることがわかります。

素晴らしいサービスに感服

傘の骨が一箇所変形したのですが、現品を見たうえで「この部分に薄い金属板をあてがって補強します」との説明があり、どのくらいの時間と価格でできるかの説明がありました。それほど難しい内容ではないとはいえ、説明の段取りがよくわかりやすいと感じました。そこで修理を依頼し対価を支払い修理が完了してから引き取りに行くことにしました。30分ほど経ってから受けとりに行きました。修理が終わった傘を係員は自分で開いて修理が終わった部分を示したうえで、筆者が受け取りました。難しい修理ではないとは言え、もっと難しい内容でもこのような丁寧な対応になるのだろうなと想像させる優れたサービスでした。筆者としては、傘に限らずその他の何であれここに依頼すれば大丈夫という気持ちになりました。

お店の業務運営 その原則はそのまま活かせる

M社のお店の業務運営(プロセス)を振返ってみます。まず前提として次のようなことがあります。基本的にシンプルに絞り込まれています。

  1. 仕事の対象がクツ、カバンや傘などの修理に限定されている。
  2. ひとつの仕事にかかる時間(所要時間)がほぼ確実に想定でき、かつ実行できる。
  3. 仕事をやる順序はかんたんに決められる(受付け順序でやればよい)。

こういう前提がありますから、一定のスキルさえあれば自分だけで業務の全てを運営できます。顧客が殺到して仕事がさばききれないときは、受付停止などの措置をとればよいだけです。従って、営業時間中に必ず仕事を終わらせることができます。一般的なオフィスの業務だと、このような前提は必ずしも整ってはいません。次に述べることにします。

仕事の標準化ができているM社のお店

M社のお店と一般的なオフィスの仕事と比較すると、次のようにかなり異なります。

  1. 仕事の対象はかなり幅広い(限定されるにしても幅広い)
  2. 仕事にかかる時間は千差万別である。同じような仕事でも依頼主によってはかなりの幅がある。つまり、仕事の所要時間が読めない(想定できない)ことが多い。
  3. 仕事は依頼された順序で着手してよいとは限らない。「これは至急やってほしい」、あるいは残業してでも「本日中にやるべし」などの指示が避けられない。

ここまで書くと理解してもらえると思いますが「仕事の標準化」の有無が両者の大きな差異ということになります。M社のお店のやり方は仕事の標準化が進んでいます。一般的なオフィスの仕事もこのレベルを目指す必要があります。わが国の少子化・高齢化で働き手が減少すること、そして国際的な企業競争力を確保するためです。

順序を決めることは難しい

さらにはどういう順序で着手するかということもあります。これは当然のように要求された期限で決まることになりますが、仕事を請け負った本人の事情でも左右されます。

  1. 難しい仕事は後回しになりがちである。
  2. 依頼者のパワー(役職、地位)でも左右される
  3. 依頼されたことを本人が忘れる、あるいは意識的に優先度を下げる。

これらの対応も組織として標準化すべきことになりますが、これらは組織の管理レベルが低い場合に起きやすいことです。管理レベルが上がれば(仕事の標準化が進めば)自然に消えていくことになります。

企業として取り組む課題

全ての業務を標準化することが最終的な目標になります。そして、仕事の完了形(最終的な成果物)が要求を満たしているか、かんたんに判定できるようにする必要があります。この判定もシンプルにできるようにして管理者はもちろんのこと人の判断に頼らないようにすることが必要になります。わが国でも、このような変化はどんどん進行しています。今回とり上げたM社のお店は次の段階ではどういう形態になるのでしょうか、興味あるところです。


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