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最新のエッセー

第37回 物理クラブ顧問安藤先生のこと

津曲 公二

志布志中学校の遠景(母校のホームページから 鹿児島県志布志市)
志布志中学校の遠景
(母校のホームページから 鹿児島県志布志市)

中学校で物理クラブに参加する

2年になったとき、父の薦めでバレーボール部に参加しました。ところが、これが全くつまらない。体育系は得意ではなかったのですが、とくに指導があるわけでもなく新しい加入者は迷惑な存在のようでした。父は薦めたことを辞めても全くこだわりは無いので、すぐに辞めることにしました。あるとき、放課後の理科室で先生がラジオを組み立てているところを見かけました。当時はテレビ放送の電波が微弱でやっと受信できるくらいでした。そのため、一般家庭ではラジオが主な受信機でした。そのラジオを組み立てているのです!それを見ただけで入部することにしました。

同期の三人組でラジオを組み立てる

筆者を含め、同学年は3人だけでしたが、クラブ全体もこの3人で続けることになりました。当時のラジオと言えば、トランジスタなどはまだ無く真空管式でした。初歩の並4式(真空管4本使用)から始まり、最後は5球スーパー(当時の標準タイプ)まで挑戦しました。顧問の安藤先生の指導が適切で、回路図の読み方からハンダ付けまで必要なことを教わることができました。学校の授業は退屈でしたが、放課後のクラブ活動が最大の楽しみでした。とくに、組み立てが終わってラジオから音声が聞き取れるようになったときの嬉しさは格別で、三人で「やったー」と喜びあいました。そばでニコニコされていた先生が、今でも印象に残っています。

通信教育が始まる

中学を卒業し、三人それぞれ異なる高校に進学しました。筆者は鹿児島市の県立高校に進学、自宅から通学するには距離的に遠すぎるので高校構内にある寄宿舎で生活することになりました。授業は中学校に比べると段違いのレベルでした。現在、受験予備校のカリスマ講師はテレビタレントの扱いです。当時、そのような感じの先生も少なくありませんでした。それぞれ個性的な先生ばかりで集中して授業を受けることができました。「田舎の普通の中学校」から「県庁所在地の受験校」への進学は父の薦めでしたが、筆者にとってはぴったりの環境でした。
高校2年になったとき、中学校物理クラブの安藤先生から信書が届きました。「・・君たち三人はとても熱心だった。中学校ではまだ教わっていなかったことを伝えます」と、高校の物理で扱う真空管の構造や機能、基本的な理論などがびっしりと書かれていました。当時、コピー機などはありません。手書きの原稿を3名分「コピーする」にはカーボン複写紙を使うしかありません。先生は、カーボン複写紙を挟みながら強い筆圧で何ページも手書きされたのです。内容的には、高校の授業で学ぶ物理を超える部分もありました。もらった信書は繰り返し読んだように記憶しています。三人組の絆は今も健在です。顧問だった安藤先生のこのようなご配慮が三人を結びつけているのは確かでしょう。

三人組で旅行を始める

三人の進路はそれぞれに異なりましたが、50歳代半ばになってから年に1回そろって旅行するようになりました。「日本のどこかで故郷を語ろう会」がスタートしました。メンバーのひとりが企画センス抜群のため、希望を伝えると素晴らしい旅行プランができ上がります。故郷の思い出を語りながら、旅行する。これほど恵まれた時間はありません。コロナ禍などで中断していますが、再開を楽しみにしているところです。

おカネで買えないものがある

過去の思い出を相手かまわず語ることは迷惑になりかねません。しかし、その思い出を共有できる人たちであれば全く別です。そのような人たちと語り合うことは何ものにも換えられないものになります。おカネで買えないものがある、中学時代のひとコマから感じることです。


ニュース

  • 2021年1月15日

第38回「経営トップの深い参画を前提とするおみこし経営とは」

日本カイゼンプロジェクトのサイトに連載「プロジェクトでカイゼン」を好評掲載中

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  • 2020年12月25日

日本カイゼンプロジェクトのサイトに「プロジェクトでカイゼン第37回」が掲載されました。

今回は「集まればよい知恵が出るチームをつくる」になります。

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  • 2020年12月18日

日本カイゼンプロジェクトのサイトに「プロジェクトでカイゼン第36回」が掲載されました。

今回は「わが国は信頼の社会」になります。

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